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適格組織再編
適格組織再編とは何か?
会社の価値については、その目的によって多面的にとらえられるものです。純資産(総資産-総負債)=解散価値や、事業継続の価値など様々な形でとらえることができます。一例として、会社売却やM&Aによって、資本の質が変わることで会社の価値が上がる、人員整理の代名詞として使われてしまっているリストラ(=リストラクチャリング)の本来の意味について考えると、事業の再構築、組織再編こそが、リストラの本質的な手法の一つです。組織再編で、事業用の不動産や資産の所有が移転すると、一般的には時価での売買となるため含み益がある場合はそこで課税の対象になってしまいます。しかし、事業そのもののリストラと認められて、税制上、適格組織再編となった場合には、資産の価値は時価=処分価値ではなくそれまでの簿価とすることができます。税負担が原因で社会のリストラを阻害することを防ぐことを目的とした制度となっています。
含み益に対する課税を繰り延べることができる
会社の価値の客観的な基準の1つとして純資産(総資産-総負債)があります。しかし、資産の簿価は、取得額から減価償却費を控除したり、取得が古い不動産は低い簿価となるものの、現在の時価は高い(=含み益を持っている)場合があります。適格組織再編に該当しない場合は、会社売却やM&Aは時価で行うのが原則です。創業数十年という会社では、土地の時価が簿価を大きく上回ったり、減価償却資産も、耐用年数経過後は帳簿価額は1円でも、時価はもう少し高いといったことがあります。せっかく会社売却したくても、そこで含み益に課税を受けてしまえば、M&Aの経済的効果をそぐことになってしまいます。グループ内の組織再編など、一定の要件を満たす場合は適格組織再編になり、資産価値(含み益)に対する課税を将来に繰り延べすることができます。組織再編にあたる税負担は、その経済的効果を左右することになりますので、「デューデリジェンス」(デューデリ・資産査定)と並び重要な問題となります。