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M&A(Mergers and Acquisitions)

表明保証

M&Aにおけるリスク緩和:表明保証の理解

M&A取引における表明保証の役割

表明保証はM&A契約の重要な要素であり、買い手と売り手の間でリスクを配分し、取引プロセス中に開示された情報の正確性に関する保証を提供する役割を果たします。
これらの法的声明は、通常、対象企業のさまざまな側面についてカバーし、財務状況、業績、法令順守、資産の所有権などが含まれます。
表明保証をM&A契約に含めることで、当事者は、後日の紛争や未開示の問題や不正確性に起因する金銭的損失のリスクを最小限に抑えることを目指しています。

表明保証は、売り手が買い手に対して最終契約の締結日や譲渡日などにおいて、対象企業に関する財務や法務などに関する一定の事項が真実かつ正確であることを表明して、その内容を保証することを言います。対象企業の財務や法務等に関する色々な問題点について、買い手側は買収監査を実施してその把握に努めます。そして株式譲渡代金などの契約条件の交渉を行うのです。しかし、全ての問題点について短期の買収監査で把握することは難しいですし、株式譲渡代金に全てを織り込んで交渉することも現実的ではありません。それで現在のM&Aの実務では、売り手側が買い手側に対して最終契約書内で対象会社の事業状況や、財務状況などある程度網羅的な表明保証を行うことが一般的になっています。最終契約書には、M&Aの交渉で双方の合意が得られた事項に関して重要なことが盛り込まれていきます。例えば、最終契約書には売買の対象物や価格、支払い条件や表明保証が盛り込まれていくのです。

表明保証の主要な要素

1. 財務諸表:表明保証には、対象企業の財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)の正確性と完全性に関する記述が含まれることがよくあります。
2. 法令順守:売り手は、対象企業が税務、環境保護、雇用慣行、知的財産権などを含むすべての適用法令および規制に遵守していると表明することが一般的です。
3. 訴訟の不在:売り手は、対象企業の事業運営や財務状況に重大な影響を与える可能性のある未解決の訴訟、訴訟、または規制調査がないことを保証する場合があります。

M&A取引における表明保証の重要性

表明保証は、買い手に対し、対象企業の状態と業績に関する保証を提供することで、M&A取引において重要な役割を果たします。
買い手は、これらの記述を利用して、買収に関連するリスクを評価し、違反が発生した場合の適切な救済措置や調整を交渉することができます。
表明保証の違反が発生した場合、買い手は売り手から損害賠償を受けたり、特定の成果を求めたりするための補償条項を利用することができます。
効果的な表明保証は、スムーズな取引プロセスを促進し、当事者間の信頼を築き、成功した取引クローズの可能性を高めるのに役立ちます。

表明保証は、M&A取引において重要なリスク管理ツールとして機能し、情報の正確性を保証し、買い手と売り手の間でリスクを配分します。
これらの法的声明は、財務状況、法令順守、訴訟の不在など、対象企業のさまざまな側面をカバーしています。
表明保証の役割と重要性を理解することで、当事者はリスクを軽減し、有利な条件を交渉し、成功したM&A取引の可能性を高めることができます。

追加債務がないことを保証する

会社売却をする企業の純資産は、基本合意の段階である程度査定されて評価されます。純資産には、資本金や余剰金、債務額が評価の対象になります。しかし、売り手側が後で債務の存在を明らかにした場合、会社の価値が変わってしまいます。そのようなことがないように表明保証をするのです。もし追加債務が発生したならば、損害賠償請求の対象となるのです。M&Aで最終契約書が締結すると、最終契約書に交渉で決められた内容が盛り込まれますが、その中でも大切なのが表明保証と善管注意義務の2つです。この2つの条項は、互いに補完しあうものですから、表明保証における違反が見られたならば善管注意義務を怠ったとみなされ、会社売却を行う売り手側の企業に対して買い手側が損害賠償請求をすることができるのです。M&Aでは企業の買収に関してリスクを含む企業価値の査定をします。これに関わる調査は多くの分野にわたり時間と労力を要するものであり、偶発的なリスクを回避するための必須事項なのです。ですから、売り手側は追加債務がないことを最終契約書において保証する義務があるのです。