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範囲の経済
範囲の経済とは何か?
範囲の経済とは、一つの企業が複数の事業を展開したり、商品のラインアップを増やす時に共通の経営資源を利用することによって効率化することを言います。製品当たりの平均コストを抑えることができるので、価格競争力の向上に寄与したり、利益率を上げることができます。規模の経済というのは、単一の事業に対して規模を大きくすることによってメリットを得ますが、範囲の経済では、複数の事業を展開する際のメリットとなります。M&Aというのは、会社売却を行っている企業または、敵対している企業を買収することによって自社の生産性を向上させたり、経営範囲の拡大を狙った手法となっています。効率的なM&Aをしたいのであれば、確認しなくてはならないことはたくさんありますが、範囲の経済という概念も確認しなければならない情報の一つなのです。
M&Aは範囲の経済のバイヤーズバリューで決まる
M&Aにおいては、自社が既にやっている事業と関連性の深い事業をしている会社を買収することは、範囲の経済によって生産性を向上させる可能性があると言えます。範囲の経済というものが買収を行おうとしている企業にとってシナジー効果に左右されるため、範囲の経済を意識してM&Aをすることは、買い手の企業側だけが重要と考えられがちですが、会社売却をしようとしている売り手の企業側にとっても大切なことなのです。M&Aを実行するかどうかという判断は、その企業を買収することによって買い手が得られるメリットや利得である、バイヤーズバリューが判断の基準になります。もし、その企業を買収したとしても買い手がメリットや利得があまり得られないとするならばM&Aを完全に遂行されることはないことでしょう。しかし重要なことは、買い手が得られるバイヤーズバリューの計算には、企業買収によって得られるシナジー価値等が含まれていることです。ですから、売り手企業が範囲の経済という観点でシナジー価値を説明することができるならば、買い手のバイヤーズバリューはかなり高く評価される可能性があるのです。ですから、この範囲の経済ということを買い手と売り手双方の企業が重要視することが大切です。