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有利発行
有利発行とは何か?
有利発行とは、第三者割当増資または新株予約権(ストックオプション)の付与の際に社会通念上妥当と考えられる価格以下(無償による付与を含む)で行われる場合、この行為を有利発行と言います。妥当な価格との乖離幅が10%が目安となります。有利発行の場合は、非公開会社だけでなく公開会社においても募集事項の決定について株主総会の特別決議が必要になります(会社法第238条第2項、第239条第1項、第240条第1項)。そして、取締役は株主総会において有利な価額でその者を募集することを必要とする理由を説明しなければならないのです(会社法238条第3項)。有利発行の取引には無償での新株予約権付与が行われるケースも例外ではありません。しかしここでポイントとなるのは有利発行は、時価よりも株価が下回っていなければならないという点です。
差分の経済価値に課税も
会社売却に際して、第三者割当または新規の株式割当をする場合において株式の価値という点に注意を向ける必要があります。ただここで第三者割当の結果、すでに株価を譲渡した株主に対して税務署側が有利発行以前の状態の経済価値が発生すると判断して、その結果それと同等の税金を課す恐れが出てきます。有利発行の運用実例を見ることにおいて、その税制上の流れに着目する必要があることを言っておかなければなりません。M&Aにより会社売却を実施するケースでは、まず株式の譲渡が少なくとも発生します。会社売却により別の法人格の企業となるケースでは、会社が別の会社に吸収されてしまうことになります。そのためその会社の株式を保有していたとしても紙屑のようになってしまうことになるのです。有利発行をする上で大切なことは、株主総会での特別議決によって既存の株主から有償もしくは無償で取引や譲渡が行われていきます。ここで発生する問題点は、すでに株式を手放した既存株主と新たに株式を譲り受けた株主共に課税対象になってしまうことです。