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M&A(Mergers and Acquisitions)

実質破綻先

M&A取引における実質破綻先を理解する

– 実質破綻先とは、負債が資産を大幅に上回り、経済的に極めて困難な状況にある企業や個人のことを指します。
– M&A取引において、実質破綻先の関与は、買収側や困窮する企業にとって独特の課題や機会をもたらします。
– 実質破綻先との取引の影響を理解することは、M&A取引に関わる投資家や債権者、ステークホルダーにとって重要です。

M&Aにおける実質破綻先の影響を探る

この実質破綻先は、形式的もしくは法的には経営破たんしていないものの、深刻な経営状態にある融資先会社(債務者)のことを意味しています。組織がまだ破綻していないとしても、再建の見通しが立っていないと確認されるほどの状態にあるのです。

実質破綻先との取引での課題と機会

– 課題:実質破綻先の取得は、大幅な負債の継承、法的紛争、規制当局の調査、業務上の問題などのリスクを伴います。さらに、債権者が売却や合併に反対する場合もあり、取引プロセスが複雑化する可能性があります。
– 機会:課題にもかかわらず、実質破綻先の取得には、貴重な資産へのアクセス、市場シェアの拡大、新規市場への参入、既存の事業との統合によるシナジーなど、戦略的な利点があります。
– 戦略:実質破綻先とのM&A取引の成功には、慎重な計画、交渉、デューディリジェンスが必要です。戦略には、債務の再構築、資産売却、資金調達の確保、規制当局の承認の取得、業務上の非効率性の解消などが含まれます。

金融検査マニュアルでは2番目に深刻

金融検査マニュアルの中で、この状態は二番目に深刻な状況です。そのまま経営することはおろか、金融機関から不良債権とみなされて、相応の処分を受ける可能性もあるのです。もし再生を考えるのであれば、会社売却やM&Aなどの合併による企業再生が必要になってきます。多くの経営者は、組織が跡形も無くなってしまうよりは、形を少し変えてでも存続させたいと思っています。

事例と示唆:実質破綻先とのM&A取引の例

– 顕著な例の1つは、2008年の金融危機時にバークレイズがリーマン・ブラザーズの資産を取得したことです。リーマン・ブラザーズが破綻申請を行った後、バークレイズはリーマン・ブラザーズの北米事業の大部分を購入しました。この買収により、バークレイズは米国の投資銀行市場での存在感を拡大しました。
– 別の例として、2013年のアメリカン航空とUSエアウェイズの合併があります。USエアウェイズは以前破綻申請を行っていましたが、アメリカン航空との合併により世界最大の航空会社が誕生しました。この合併により、両社は業務を効率化し、路線網を強化し、コストシナジーを実現しました。

実質破綻先とのM&A取引は、関係する各当事者にとって課題と機会を提供します。困窮する企業を取得することはリスクを伴いますが、戦略的な利点や価値創造の機会もあります。成功事例は、実質破綻先との取引の複雑さを乗り越えるために、戦略的な計画と綿密な実行が重要であることを示しています。