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M&A(Mergers and Acquisitions)

事前警告型ライツプラン

事前警告型ライツプランを活用したM&A取引

積極的な戦略:M&Aにおける事前警告型ライツプランの役割

– 事前警告型ライツプランは、企業が敵対的な買収試みに対処するために実施する戦略的措置の一つであり、「毒丸」としても知られています。これは、特定の誘発イベントが発生した場合に、既存の株主に株式の追加取得権を与えることで、買収企業の試みを防ぐものです。
– M&A取引において、事前警告型ライツプランは積極的な防衛メカニズムとして機能し、企業が自身の利益を保護し、企業の方向性や意思決定プロセスをコントロールすることを可能にします。
– 事前警告型ライツプランの戦略的な活用は、M&Aの複雑な状況での企業の成功に不可欠であり、これを理解することは企業にとって重要です。

大きな株式買い付けが行われる時、その大半は20%を取得することになります。事前警告型ライツプランとはそんな状況を想定して、買収に対してその目的や内容、買収価格の算定根拠、そして資金の裏付け、買収後の経営方針等に関する情報を開示するように求めるものです。そしてそうした情報が提供されてから会社で一定の検討時間を確保できるように求めます。もしこれに買収者が応じなかったときには、新株予約権の発行を行う、その買付行為を妨害したり、対抗する措置を講じることになるのです。

事前警告型ライツプランの戦略的実装

– 株主価値の保護:事前警告型ライツプランは、株主に追加株式の取得権を与えることで、敵対的な買収企業から株主を保護し、株主価値を維持することを目指しています。
– 企業独立性の維持:事前警告型ライツプランは、敵対的な買収企業を威嚇することで、企業が自らの方針と意思決定の自主性を保持することを可能にします。
– 交渉力の向上:事前警告型ライツプランの存在は、M&A交渉において企業により強力な交渉力を与え、敵対的な買収企業を阻止し、相互に有益な合意を促進することができます。

買収者が現れたら新株予約権を発行

この事前警告型ライツプランの特徴は、買収者が登場する前に防衛策を開示しておき、その買収者が現れるまで新株予約権の発行はしないというものです。もちろんこの方法にもリスクがあります。最初から新株予約権の発行をするわけではないので、発動した時にその差し止めをされるリスクや事前の警告がどこまで効力を持っているのか判断しにくいということです。この事前警告型ライツプラン以外にも「信託型ライツプラン」というものも存在します。(それはさらにSPC型と直接型に分かれます)このようなライツプランによって新株発行が行われれば、敵対的買収を計画した投資家や株主の持ち株比率が下がり、買収者にとって不利益につながるということなのです。そのような意味では敵対的買収者に対する予防策になります。

事例と洞察:事前警告型ライツプランの有効性の検証

– 例えば、Airgas, Inc.は2010年にAir Products and Chemicals, Inc.による敵対的な買収試みを撃退するために事前警告型ライツプランを活用しました。この策はAirgasの株主に追加株式の取得権を与え、買収企業の試みを阻止しました。
– 同様に、Pillsbury Companyは1990年代にGrand Metropolitan PLCによる敵対的な買収入札に対抗するために事前警告型ライツプランを採用しました。この策は効果的であり、Grand Metropolitanの買収企業からの試みを妨げました。

事前警告型ライツプランは、M&A取引において重要な役割を果たし、企業が自らの利益を保護し、企業の独立性を維持することを可能にします。これらの策を戦略的に実施することで、企業はM&A交渉において自信を持ち、潜在的な脅威に対して長期的な利益を保護することができます。