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ローントゥバリュー
ローントゥバリューとは何か?
ローントゥバリュー(Loan to Value)とは、略称でLTVと書かれることがありますが、借入金の安全度を測る指標のことです。ローントゥバリューは借入比率と呼ばれることもあります。資産価値に対する負債比率で銀行が融資をする時の担保比率のことです。ローントゥバリューはレバレッジの高い・低いの目安になります。企業において理想的なローントゥバリューを「最適資本構成」と言います。一定割合まではレバレッジを高くするならば出資に対する利回りが大きくなって効率的な投資活動が可能になります。しかしレバレッジを掛け過ぎるならば、レンダーの抱えるリスク増加に伴って借入金利が高くなってしまうので、投資効率を落とす結果になることもあります。金融機関が貸し出しをする時、金融機関の安全性確保の見地から当該貸出の担保物件(不動産・株式など)の価値を算定します。この担保価値に一定の率を掛け、その額を上限に貸出することが多いのです。例えば預金は担保価値としては100%になりますし、優良上場企業の株式であれば80~90%、不動産であれば80%までが評価となることもあります。このパーセンテージのことを「担保掛目」(担保物件の価格より低く評価する時の比率)と言い、金融機関の融資の安全性確保の見地から昔から長年導入されているのです。
M&A等のケースではローントゥバリューが不可欠
このような形で融資が行われるのですが、M&A等のケースで企業価値を算出するには借入金の安全性を評価するローントゥバリューが不可欠です。ローントゥバリューが高いほどリスクが高い担保物件ということになりますので、M&Aの時にローントゥバリューの高い借入が多いと企業価値が低くなるのです。M&Aはバイヤーズバリューがセラーズバリュー(売手にとっての売却希望価格)を上回らないとM&Aの良い成立は見られませんが、買収する側にとってそれだけの価値がなければ成立も難しいのです。ローントゥバリューが低く安全性の高い借入が多いことが買収する側のメリットになり、セラーズバリューを高めることになるのです。このように企業価値に影響して買収価格にも関わるので、M&A等をする時には必ず算出されて参考とされる指標の一つとして扱われます。