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M&A(Mergers and Acquisitions)
フェアネスオピニオン
フェアネスオピニオンとは何か?
フェアネスオピニオンとは、M&Aの取引を行う際に合併比率等の評価額や取引価格、評価結果に至る会社の経営判断などを、独立して公平な立場にある第三者がさまざまな視点から調査し、その公正性について財務的見地から意思表明を行うことをいいます。欧米ではM&Aを実行する前に、取締役会が利害関係のない投資銀行や監査法人、評価会社などの第三者機関の意見を求めることが通例になっています。そして、日本では取得が義務付けられてはいませんが、その重要性の認識は高まってきています。フェアネスオピニオンの目的は、既存株式の利害に大きな影響を与える意思決定をする際に、取締役が善管注意義務や、忠実義務を履行したことを補完することです。そうすることによって、株主他ステークホルダーに証明することができるのです。M&Aを承認する株式総会の招集通知に、承認を得るために添付されていることもあります。フェアネスオピニオンは、「企業価値の向上および公正な手続き確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針(MBO指針)」(平成19年経済産業省)において恣意性を排除していく一つの対応なのです。
フェアネスオピニオンには十分な情報と高度な専門性が必要
フェアネスオピニオンは、投資銀行や証券会社、会計事務所によって発行されていきます。日本においては、上場会社のM&AやTOBでは当該投資案件の財務アドバイザーが作成することが多く、上場親子会社間同士の合併や株式交換などは適時開示において公正性を担保するための措置として、フェアネスオピニオンの有無を開示することが求められているのです。フェアネスオピニオンは、財務に関わる意見書を提出するということから監査と誤解されがちですが、フェアネスオピニオンは保証業務ではありませんから監査とは違うものです。そして、その意見表明は取締役宛で、株主に対して責任を負うものでもないのです。しかし株式総会招集通知に添付されるケースもありますので、意見表明を読む人が増加することから不測の事態が起こり得ることも予測しなければなりません。フェアネスオピニオンの作成は、入手した財務情報等の数字が正確でなければなりません。フェアネスオピニオンを提供するためには、十分に情報を収集して分析し、高度な専門性を持って分析調査する必要があるのです。