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パールハーバー・ファイル
パールハーバー・ファイルとは何か?
パールハーバー・ファイルとは、敵対的買収の対象にされるケースを想定し、あらかじめ作成しておく行動マニュアルのことを言います。例えば、敵対的買収を仕掛けられた時、社内の財務データや営業データ、マーケティングデータなど機密情報を活用して自社に魅力的なデータを作成してホワイトナイトを説得することなどが挙げられます。新しい企業を興す場合、その会社が利益を生み出せるようになるまで時間がかかりますし、利益を生み出せずに損失となることもあり得ます。しかし、新規に企業を立ち上げるのではなく、十分な成果を上げている企業を買収したり、資本参加するなら戦略上法務の観点からもM&Aは有効な手段と言えるのです。M&Aは、一定以上の利益をすでに出している企業を傘下に収めたり、出資をすることによって利益確保を確実に行うことができます。また、部門ごとに資金調達をしたり、不採算部門を切り離したりなど幅広い戦略を行うこともできるメリットもあります。ただし、このような買収は買収される側としては敵対的買収ということになりますので、買収される側としては何らかの対抗手段を講じる必要があるのです。
敵対的買収時のシミュレーション
会社法の規定により、合併や買収には株主総会の3分の2以上の賛成が必要があり、これよりも厳しい条項を定款に定めるなどして予め厳しい要件を規定します。このような、敵対的買収の対象にされるケースを想定し、あらかじめ作成しておく行動マニュアルのことをパールハーバー・ファイルと呼びます。方策の第一に挙げられるのが、持ち株比率を下げることですが、新株発行や新株予約権の発行をすることによって株式の数が多くなれば、個々の持ち株比率は低下するのです。しかし、新株発行や新株予約権の発行には株主総会の手続きが必要なため導入するのはハードルが高いと言えるでしょう。方策の第二は、議決権制限することですがこれを導入すれば裁判所に対してでさえ無効・差し止め請求ができないというメリットがあります。しかし、公開会社は発行済みの株式2分の1を超えることはできませんし、超えてしまった時には超えないような対策をするよう要求されるのです。防衛対策は幾つかありますので、色々な方策の良い面を合わせていくならば有効な手段となるのです。