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M&A(Mergers and Acquisitions)

コーポレートガバナンス

価値の最大化とリスクの軽減:M&Aにおけるコーポレートガバナンス

効果的なコーポレートガバナンスを通じたM&A成功の向上

– 定義:M&Aにおけるコーポレートガバナンスとは、企業が合併や買収取引中に指導され、管理される枠組みのルール、実践、プロセスを指します。これには、取締役会、経営陣、その他の利害関係者の役割と責任が含まれます。透明性、説明責任、倫理的行動をM&Aプロセス全体で確保するためのものです。
– 利害関係者の保護:効果的なコーポレートガバナンスは、M&A取引に関与するすべての利害関係者、株主、従業員、顧客、債権者の利益を保護します。明確なガイドラインと意思決定メカニズムを確立することで、利害の対立を防ぎ、公正な取り扱いを確保し、取引に対する信頼と信用を高めます。
– 価値創造:コーポレートガバナンスは、M&A取引での価値創造において重要な役割を果たします。誠実さ、リスク管理、戦略的監視の文化を育むことで、企業は価値を向上させる機会を特定し、取引に関連する潜在的なリスクや落とし穴を最小限に抑えることができます。

コーポレートガバナンスとは、文字通り企業の統治方法で、企業が健全な生産活動とか利潤の追求さらに社会的地位の維持をバランスよく行うためのものです。具体的には会社が特定の経営者や株主にだけ利益を与えたり、特定の社会的目的に利用することが無いように管理します。しかし、どのようにでしょうか。例えば意思決定機関を分散させたり、株式を分散させることで権力がある特定の人にだけ集中することが無いようにするのです。M&Aや会社売却の際には経営者が株主が大きく変わることもあるので、時に自分の特定の利益の為に利用しようとする人たちが非常に多くなります。しかしそのような状況に陥ってしまうと、会社というのは社会的地位を失ったり、経営が経ちいかなくなることも多いのです。

M&Aにおけるコーポレートガバナンスの進化

M&Aにおけるコーポレートガバナンスの実践は、時間の経過とともに大きく進化し、規制の変更、市場の動向、過去の失敗と成功から得られた教訓によって推進されています。
– 例1:エンロン事件
2000年代初頭のエンロン事件は、特に財務報告、監督、説明責任の分野におけるコーポレートガバナンスの実践の不備を露呈しました。かつて最大かつ最も革新的な企業と見なされていたエンロンの崩壊は、より厳格なコーポレートガバナンスと財務透明性のためのサーベインズ・オクスリー法などの広範な規制改革をもたらしました。
– 例2:ヒューレット・パッカード(HP)とオートノミー
2011年のHP-オートノミーの取引は、M&A取引におけるデューデリジェンスと取締役会の監督の重要性を強調する戒めの例です。HPは、イギリスのソフトウェア企業であるオートノミーを111億ドルで買収しましたが、後に取引の価値を88億ドル減損し、会計上の不正行為や不適切な報告を理由にしました。この取引の失敗は、徹底したデューデリジェンスの重要性、リスクの評価、取引全体での誠実さを強調しました。
– 例3:マイクロソフトとリンクトイン
対照的に、2016年にマイクロソフトがリンクトインを買収した取引は、M&Aにおける効果的なコーポレートガバナンスの実践を示す典型例です。マイクロソフトは徹底したデューデリジェンスを実施し、株主との透明なコミュニケーションを行い、262億ドルの取引の価値を最大限に引き出すための明確な統合計画を立てました。戦略的な目標を整合させ、シナジーを活用し、文化的な統合を優先することで、マイクロソフトは取引の複雑さを乗り越え、両社にとって長期的な価値を実現しました。

M&Aにおける効果的なコーポレートガバナンスの主要な原則

M&Aにおける効果的なコーポレートガバナンスは、透明性、説明責任、価値創造を促進するいくつかの主要な原則によって導かれます。
1. 取締役会の監督:取締役会は、M&A取引を監督する中心的な役割を果たします。戦略的目標の設定、潜在的な取引の

評価、後の統合の監視などを含みます。取締役会は、堅固なデューデリジェンスを確保し、リスクを評価し、経営陣の意思決定を監視して株主の利益を保護する役割を果たします。
2. 透明性と開示:透明なコミュニケーションと開示は、利害関係者との信頼と信用を築くために不可欠です。企業は、M&A取引に関する時宜を得た正確な情報を提供することが重要です。これには、理由、リスク、利害関係者への潜在的な影響などが含まれます。
3. 倫理的行動:倫理的基準と誠実さを守ることは、M&A取引において重要です。企業は、法的および規制要件を遵守し、誠実かつ公正に事業を行い、利益相反や内部取引を回避することで、プロセスへの信頼と信用を維持します。

M&Aの際は企業統治の統合が最重要課題

コーポレートガバナンスは、M&A取引全体での透明性、説明責任、倫理的行動を確保し、価値創造とリスクの軽減に重要な役割を果たします。主要なガバナンスの原則に従うことで、企業は価値創造を最大化し、リスクを軽減し、利害関係者の信頼を高め、最終的に成功したM&Aの結果をもたらすことができます。

そのようなことにならないよう、M&Aを行う時にはその会社のコーポレートガバナンスを継承して、その延長線上で統合後の企業活動を維持するという必要があるのです。実はこのコーポレートガバナンスですが、日本企業で導入されたという歴史は非常に浅く、特に中規模の企業では浸透がいまだにされていません。ですから日本におけるM&Aや会社売却においては大企業が中小の会社を吸収するという印象が強く、そのために吸収された方の社員たちは経営方針の急激な転換に戸惑ってしまうことが多いのです。しかしコーポレートガバナンスという考え方の中では、中小の会社も非常に必要なものであり、それを組した形での経営統合を進めています。