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M&A(Mergers and Acquisitions)

担保掛目

M&A取引における担保掛目の重要性を明らかにする

M&A(合併および買収)の領域では、担保掛目は対象会社の財務健全性と潜在的なリスクを評価する上で重要な役割を果たします。この記事では、M&A取引における担保掛目の重要性とその取引構造および資金調達に与える影響について探求します。

M&A取引における担保掛目の重要性

M&Aで使われる担保掛目は、金融機関などがお金を貸し出す時に、当該貸出の担保物件を評価する際の比率を意味します。金融機関が貸し出しをする時に、当該貸出の担保物件 (不動産や株式など) の価値を算定、この担保価値に一定の率を掛けて、その額を上限に貸出することがほとんどです。このパーセンテージを「担保掛目」といいます。そして、金融機関の融資の安全性確保の見地より古くから導入されており、ローントゥバリュー (Loan to Value) ともいいます。一般的に金融機関などでは、ローンの債権等を保全するために担保をとる場合がありますが、万が一の場合に備えて、その担保から確実に回収することが必要になってきます。そのために、担保評価額の設定は適切にされることが大切になってくるのです。

M&Aにおける担保掛目の概要

1. リスク評価:担保掛目は、M&A取引における対象会社の信用力とリスクプロファイルを評価するための重要な指標として機能します。担保として提供される有形資産は、金融機関にとってデフォルトリスクや潜在的な損失の軽減手段となります。担保掛目を理解することで、ステークホルダーは対象エンティティの全体的な財務安定性と返済能力を評価することができます。

2. 取引構造:担保掛目は、M&A取引の構造に影響を与えます。特に、資金調達のオプションと条件を決定する上で重要です。高い担保掛目は、企業が有利な融資条件を確保し、低い金利や高い融資枠を得ることを可能にし、財務の柔軟性と拡張能力を向上させます。一方、低い担保掛目は、資金調達のオプションを制限し、リスクを軽減し、資金調達を確保するための代替的な取引構造を必要とする場合があります。

3. デューディリジェンスと評価:担保掛目は、その正確性と市場価値を確認するために徹底的なデューディリジェンスと評価プロセスを経ます。担保資産の品質、流動性、市場性を評価することは、その取引価値とリスク管理への貢献を確認する上で不可欠です。詳細な担保分析により、買い手、売り手、および金融機関は情報を基にした意思決定を行い、有利な条件を交渉することができます。

M&A取引における担保掛目の重要性

担保掛目は、リスク評価、取引構造、および金融に関する意思決定を通じて、M&A取引において重要な役割を果たします。担保掛目を理解することで、ステークホルダーはリスクを軽減し、有利な資金調達条件を確保し、取引全体の価値を向上させることができます。また、担保分析は透明性、デューディリジェンス、そして情報を基にした意思決定を促進し、M&A取引における成功に貢献します。

事例と例

M&A取引における担保掛目の重要性を示すために、以下の例を考えてみましょう。

例1:製造会社の買収において、買い手は機械、不動産、在庫などの対象の担保資産を徹底的に評価します。これらの資産の高い担保掛目により、買い手は有利な条件で資金調達を確保し、買収を容易にし、将来の成長イニシアティブを支援します。

例2:破綻したM&Aシナリオでは、売り手は取引のために資産を担保として提供します。しかし、担保掛目や市場状況に関する不確実性があるため、買い手は資産の品質や市場性を確認するために徹底的なデューディリジェンスを行います。交渉は、評価された担保掛目と関連するリスクに基づいて取引条件を調整する場合があります。

担保評価額の設定方法

担保評価額は、通常は担保の時価評価額と担保掛目を掛けた値となり、担保掛目は確実に保全されるか否かを考慮に入れますが、例えば預金は100%、上場企業の株式は80%から90%、不動産ですと70%から80%などに決められます。株式での信用取引等の代用有価証券の評価においても、担保掛目は同じ意味として用いられているのです。資産の時価は、ホテルや娯楽施設などの用途を全く別の物に変えるのが困難である不動産を除くと、大体は周辺の時価や路線価等を考慮された上で査定されます。M&Aを行うにあたって、企業が融資を申し込んだ時に担保に支払う不動産の時価が10億円だとします。金融機関によって規定が異なってきますが、銀行の掛け目が80%だと設定されていれば、担保掛目は、8億円となります。金融機関が8億円の保全が図られていると判断するならば、融資審査が行われます。金融機関から見ると、保全が図られているからといって必ず貸すということではありませんが、損する可能性は低くなるうえ、自己査定やBSI基準等の金融機関側の都合と合うために、融資しやすい条件になるのです。

担保掛目は、リスク評価、取引構造、および金融に関する意思決定を通じて、M&A取引において重要な役割を果たします。担保掛目を理解することで、ステークホルダーはリスクを軽減し、有利な資金調達条件を確保し、取引全体の価値を向上させることができます。詳細な担保分析は、透明性、デューディリジェンス、および情報を基にした意思決定を促進し、M&A取引における成功に貢献します。