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M&A(Mergers and Acquisitions)

スキーム

M&Aにおけるスキームの理解:成功の戦略

M&Aにおけるスキームの役割を明らかにする

– スキーム、または提案された計画(スキーム・オブ・アレンジメント)は、合併や買収を裁判所の承認を得て進めるための法的メカニズムで、M&Aにおいて利用されます。
– これらのスキームは、合併や買収を透明性、公正性、および法的遵守を確保しながら進めるための構造化されたフレームワークを提供します。
– スキームは、交渉条件の取り決め、株主承認の取得、および司法の監督を経て、取引を最終化するための柔軟性を提供します。

スキーム(Sheme)とは、M&Aのシーンでだけで使われるわけではなくて、「しっかりとした枠組みのある計画」や「計画を伴う枠組み」を意味しています。。M&Aの計画であるならば、「M&Aスキーム」となります。ビジネスモデルに関しても、例えば企業の事業計画は、事業の枠組みを表す計画であることから、「事業スキーム」と呼ばれます。このような計画や枠組みは、組織だって継続的に実行されることが期待されており、この点が、単純に計画を表すプランや、単純に枠組みを表すフレームワークとは異なっています。単純に年間の事業計画に関してこの言葉を用いることがあります。M&Aであれば、企業が買収を行う際の計画を指します。専門性の高い公認会計士などに依頼して作成していきますが、会計や財務、税務において、それぞれのスキームを建てていかなければなりません。これをもとにしてスケジュールの策定を行い、それを実行することによって成立を目指します。独占禁止法や、金融商品取引法といった法律上の問題を踏まえた検討も必要となります。

M&Aにおけるスキームの主要な要素

1. 裁判所の承認: スキームは、取引がすべての関係者にとって公正かつ公平であることを確認するために、裁判所の承認を必要とします。裁判所は、提案されたスキームの条件、株主の利益、および法的要件の遵守を評価してから、承認を与えます。
2. 株主の承認: 株主は、提案された取引に投票することでスキームにおいて重要な役割を果たします。スキームは、通常は株主の2/3の過半数または会社の定款で規定される過半数の承認が必要です。
3. 実施: 裁判所と株主の両方の承認を得た後、スキームは全ての株主に対して拘束力を持ち、取引は合意された条件に従って進行します。買収企業は対象企業の管理を引き継ぎ、株主はスキームの規定に従って対価を受け取ります。

中小企業がM&Aで失敗する原因

中小企業の友好的M&Aの失敗の裏には、多くの場合、売り手側のスキームの未熟さが原因にあるようです。成功に導くためには、売り手側のスキームの構築がポイントとなってきますが、買い手側の理解度も求められてきます。たしかに「M&Aは株式の買取で行う」ではありますが、それ以外の、スキーム構築が出来ないような希薄な知識では、成功率は低くなってしまうのです。現在、ベンチャー企業の再生手段としてM&Aが活発に選択されてきています。また、上場しているベンチャー企業の業務拡大といった、シナジー効果を狙った買収も行われてきています。しかし、非上場のベンチャー企業では、株券の交付が成されていないなどのケースも多くあり、今の株主が本当に権利者であるのかといったことすら、対外的には明らかでないということが多々見られています。多種多様なケースに対応できるよう、M&Aスキームの選択肢を持つことが不可欠となってきています。

ケーススタディと事例

– ケーススタディ1: ボーダフォンによるマネスマンの買収
– 2000年、ボーダフォンはドイツの通信会社であるマネスマンをスキーム・オブ・アレンジメントを通じて買収しました。このスキームは、ボーダフォンとマネスマンの両株主の承認を必要とし、裁判所の承認を受け、企業史上最大の合併の一つを実現しました。
– ケーススタディ2: タタスチールによるコーラス・グループの買収
– タタスチールによる多国籍鉄鋼生産会社であるコーラス・グループの買収は、2007年にスキーム・オブ・アレンジメントを通じて行われました。このスキームにより、タタスチールは裁判所が承認したプロセスを通じてコーラスを買収し、株主に対して透明性と法的に拘束力のある枠組みを提供しました。
– ケーススタデ

3: シェルのスキーム・オブ・アレンジメントによる再編
– ロイヤルダッチシェルは2005年にスキーム・オブ・アレンジメントを通じて再編を行い、企業構造を整理し、業務を効率化しました。このスキームにより、シェルはオランダとイギリスの持株会社を1つに統合し、効率性と企業ガバナンスを向上させました。

スキーム・オブ・アレンジメントは、合併や買収を容易にし、取引に対して構造化された法的に遵守されたフレームワークを提供することで、M&Aにおいて重要な役割を果たします。裁判所の承認と株主の同意を通じて、スキームは公平性と透明性を確保し、企業が戦略的な買収を効果的に実行できるようにします。ボーダフォンのマネスマン買収、タタスチールのコーラス・グループ買収、シェルの企業再編などのケーススタディは、スキームが戦略的目標を達成し、ステークホルダーに価値を創造するために成功裏に実装された例を示しています。