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超過収益
超過収益とは何か?
超過収益とは、企業が経営を続けてゆく過程の中で蓄積されていった潜在的な企業価値のことを表しています。すなわち、現時点では金銭換算で評価しにくいものでありながら、業界において優位的な取引関係や従業員の質の向上などを指しています。そしてその企業価値が他の企業に対し強みとなっているならば、超過収益力として評価されます。企業の買収・合併といったM&Aの局面では、超過収益力を加味した企業価値が量られることになります。そのため測定可能な資産や負債の時価額に対して超過収益力を加えて評価額が決定されます。その場合は差額として「のれん」が計上されます。この10年における日本企業のM&A、特に海外企業を買収するクロスボーダーが注目されています。しかしながら内外の企業文化の齟齬は容易に解決することができないので、価値の創出が難しいことから失敗する事例も多いとされています。
M&A対象企業は超過収益力のない企業が多い
買収・合併などのM&Aが行われると、「のれん」が計上されます。M&Aの対象になる企業は、平均利益を上回るような超過利益を出しているような優良企業とは限りません。むしろ他の企業に比べて業績はふるわないものの、買収企業の資源と組み合わせて相互補完的あるいは相乗効果的なメリットがあれば、トータルでの業績は向上するという判断からM&Aが行われます。つまりM&Aの対象企業は超過収益力がない企業が多いということになります。しかし注意すべきは「のれん」が計上されることです。そのことをもって「のれん」は超過収益力であるとする見解もありますが、正確ではないでしょう。「のれん」の定義は概略で、経営資源を有機的一体ととらえ「人が」継続的に効果を発揮させ、取引分野において優位性を持つ収益基盤であると言えるでしょう。したがってM&Aを実行してもキーパーソンがいなくなってしまえば「のれん」は減損してしまいます。人が維持発展させるものであると認識することが大切です。