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役員選任権付株式
役員選任権付株式とは何か?
役員選任権付株式とは、当該種類株式総会において取締役や監査役などの役員の選任決議ができる種類株式のことを指しています。当該種類株主総会によらなければ役員の選任を行うことができませんので、委員会設置会社や公開会社においては役員選任権付株式を発行することは認められてはいません。つまり委員会を設置していない非公開会社のみがこの株式を発行することができます。通常取締役や監査役は株主総会で選任しますが、この選任権を特定の株主だけに与えることができるのです。ただし、役員の定数に足りず選任すべき株主も見当たらない場合には、役員選任権は廃止したものとみなされるので留意しておくようにしましょう。また取締役等役員を解任する場合についても、当該種類株主総会の特別決議で決議することができます。
M&Aで事業を売却する場合は?
M&Aの会社売却のケースについてはどうでしょうか。役員選任権付株式を売り手が保有している場合と、役員選任権付株式を買い手が保有している場合とで会社運営のその後が大きく変わってくることになります。M&Aによる会社売却後の経営に与える影響が違ってくるのです。まず役員選任権付株式を売り手が保有している場合なら、売り手側が役員を選任することができますので、後継者が暴走しないようにある程度コントロールすることが可能となります。一方役員選任権付株式を買い手が保有している場合、買い手である後継者側が役員選任権付株式を保有している状態となりますので、たとえ相続によって株式を分散してしまったとしても役員を選任することによって会社の主導権を握ることができるようになります。さらなる留意点として、役員選任権付種類株式を発行する際には株主総会決議を特別に開くことができます。取締役または監査役の数および発行可能種類株式総数、当該種類株主総会にて取締役または監査役を選任することなどを定款に定めておくことができるでしょう。