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内部統制
内部統制とは何か?
内部統制(システム)とは、業務の有効性や効率性・財務報告の信頼性・事業活動に関する法令などの遵守、そして資産の保全の4つの目的が達成されているという合理的な保証を得るために業務に組み込まれて、組織内のすべての人によって遂行されるシステムのことをいいます。そして、統制環境や、情報や伝達、統制活動、リスクの評価や対応、監視活動そして情報技術への対応の6つの基本的要素から構成されています。例えば、会社の規模が拡大して業務が複雑になってくると、取締役といった経営陣が従業員による業務遂行をすべて監督して、指揮し、命令を下していくことが困難になってきます。このようなケースには、企業の内部で業務執行の手順を作成して、その手順に沿った業務を遂行できるように従業員を監督する体制のことを内部統制というのです。こういった内部統制を企業の内部によって構築した場合は、取締役はこのシステムに沿って業務を遂行したり、業務の全監視をしていくならば、特別な事情がない限り、善管注意義務違反に問われることがないのです。
M&Aによって異なった構造の会社と合併も考慮する
M&Aをすることによって企業の規模が大きくなったとしても、内部統制は取締役の責任追及におけるセーフティーネットとして機能していくことになります。さらに、会社法によって、資本金額が5億円以上、または負債額が200億円以上である大会社(会社法2条6号)において、業務の適正を確保するための体制である内部統制の構築が要求されているのです(会社法348条4項、362条5項)。そして、会社法上の委員設置会社は大きな会社でなかったとしても、内部統制の構築が会社法上要求されてもいます(会社法416条1項1号ロ・ホ、会社法416条2項)。そしてこのような会社でなかったとしても、任意に内部統制を株式会社において構築することは、取締役会の決議によってすることは可能なのです(会社法348条3項4号、362条4項6号)。M&Aなどを行って、自分の会社とは異なった構造を有している会社と一体となる場合は、内部統制の構築の条件が変わってくる可能性があることを留意することは大切です。