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ポイズンピル
ポイズンピルとは何か?
ポイズンピルとは、ライツプランとも呼ばれる米国での代表的な買収防衛策の一つです。会社の買収、合併、売却等のM&Aの分野における防衛策となっています。既存の株主にあらかじめ新株予約権を発行しておくことにより、敵対的買収を防ぐ方法です。この方法はどのように実施されて行くのでしょうか。敵対的買収者が、ある企業に対して敵対的TOBを仕掛けるとします。そして敵対的買収者の株保有割合が一定(例えば15%~20%)割合に達したとします。すると予め設定されていた条項により、敵対的買収者以外の株主に対して新株が発行されます。このような事態の新株発行は市場価格よりも安い価格で設定されているため、既存株主はどんどん新株を取得して行きます。結果として敵対的買収者の株保有比率が低下することになり、敵対的TOBを継続して行くことが難しくなるのです。このように、ポイズンピルは既存株主に事前に買収者のみが行使することのできないオプションをつけておいて、上記のような敵対的な買収が生じた場合に買収者以外の株主がそのオプションを実施して、買収者の株保有割合を低くしたり買収者が支配権を得るために必要な買収のための費用を増し加えることによって買収自体をできなくなるようにすることを目的としています。
ポイズンピル発動直前まで買い進めてプレッシャーをかける
買収者の株保有比率が一定を超えたときに発動し、買収者に対していわば毒を盛る効果があることから「ポイズン(毒)ピル」という名称になっています。敵対的買収者がTOBで株を一定以上買い進めると自動的に発動して劇的な効果を生じさせることができるので、ポイズンピルは非常に強力な買収防衛策であり米国などでは多くの企業が採用しています。日本では会社法の規制があるために米国のポイズンピルと全く同じ仕組みを取り入れることはできませんが、新株予約権を活用する対抗措置によって同じような効果を生じさせることが検討されています。敵対的買収者の側も、ポイズンピルに対応することが求められることになります。そのため、敵対的買収者の側もポイズンピルを導入している企業の買収を進める際には、ポイズンピルが発動されるまで株を買い占めることは通常は行いません。むしろポイズンピル発動の直前まで買い占めを進めてプレッシャーを与え、関係者を経営陣に送り込んだり、あるいは経営陣の刷新を求めるなどの方法を用いて行きます。