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クラウンジュエル
クラウンジュエルとは何か?
これは会社売却を伴うような敵対的なM&Aを自分たちに仕掛けられた時に行う防衛策の一つです。もともと「敵対的M&Aに遭うのは魅力があるからだ」という考えに基づいて、その会社の財産とか資産、事業を売却して魅力を無くそうという作戦になります。つまり会社が持っている重要なものを手放すことで、仕掛ける側の買収への意欲を無くさせようとするのです。クラウンというのは英語で王冠ですが、王冠からジュエル(宝石)を取ってしまえば価値が全くなくなってしまいますね。つまりそれと似た原理で行う防衛策のため、クラウンジュエルと呼ばれています。また自らの身を切って本体の防衛にあたるため、別名「焦土作戦」などとも呼ばれています。
クラウンジュエルは最後の手段
クラウンジュエルを発動するのは、当然簡単ではありません。例えば取締役というのは株主のエージェントですから「行動規範」が求められています。つまり株主の利益を損なうことができないことになっており、目指すのは株主利益の最大化です。クラウンジュエルは会社にとっての重要な財産とか事業を手放すことを意味しますので、債権者の権利も失われることになってしまいます。ですから会社を守ろうとするあまり、背任罪や特別背任に問われることも珍しくはないのです。そのため圧倒的な多数によって承認を得て、株主総会で緻密な説明を行うことがこれを実行する大きなカギとなります。敵対的買収に対する防衛策の中でも、「最後の手段」となることが多い方法です。